君は私のことをよくわかっているね
「どうして……? どうして天龍様にはわたくしの気持ちがわかるのですか?」

「当然だよ。好きな人のことだから。知りたい、理解できるようになりたいと思うだろう?」


 天龍様の言葉にハッと目を見開く。
 わたくしはずっと、誰かに――晴龍様にそんなふうに言ってほしかった。だから、彼に気持ちをわかってもらえてとても嬉しい。


「だけど天龍様、あなたならきっとおわかりになるでしょう? わたくしがどれほど、醜い心の持ち主なのか……」


 けれど嬉しい思うのと同じだけ、わたくしは己の醜さに気づかれたくなかったのだとも思う。


「わたくしは嫉妬心の塊なのです。ただの人間――女なのです」

「知っているよ。けれど、私は醜いとは思わない。ありのままの君でいい。そんな部分も引っ括めて私は桜華のことが好きだ。大好きだ。私の手で、君を幸せにしたいと思っている」

「――出会ったばかりのあなたに惹かれるような軽薄な女でも?」

「軽薄? そんなふうには私は思わないよ。むしろ光栄だ。けれど、そうだな……もしも理由が必要なら、私たちが惹かれ合うのは運命だからと言い訳をすればいい。実際そうなのだから」


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