君は私のことをよくわかっているね
11.もう叶いましたから
翌朝のこと。
目を覚ますなり、わたくしは驚きに目を見開いた。
「おはよう、桜華」
「え? ……龍晴、様?」
頭上からわたくしを覗き込む端正な顔立ち。見間違えなどでは絶対にない。そこには龍晴様がいた。
(夢? 今度こそ夢を見ているの?)
二日連続で同じことを思うなんて、我ながら情けないけれども、信じられないのだから仕方がない。わたくしは思わず首を傾げた。
「どうしてここにいらっしゃるのですか?」
「どうして? もちろん、桜華に会うためだよ。孝明に聞いたんだ。寝付けなかったらしいね。きっと昨日のことが響いたんだろうと様子を見に来たんだ。君は慈悲深く、とても優しい女性だから」
「昨日……」
動揺を必死で押し隠しつつ、わたくしは静かに息をのむ。
(大丈夫。龍晴様が仰っているのは天龍様のことじゃない。魅音様のことよ)
絶対そうに違いない。わかってる。
だけど、これまでこんな形で彼がわたくしの部屋を訪れることはなかった。当然、驚かずにはいられない。
そもそも、昨夜は後宮ではなく内廷で休んでいらっしゃったのだし、こんな早朝に後宮を訪れること自体が異例中の異例だ。本当にどうしたというのだろう?
まだ回転の鈍い頭を必死に働かせつつ、わたくしはニコリと微笑んだ。
目を覚ますなり、わたくしは驚きに目を見開いた。
「おはよう、桜華」
「え? ……龍晴、様?」
頭上からわたくしを覗き込む端正な顔立ち。見間違えなどでは絶対にない。そこには龍晴様がいた。
(夢? 今度こそ夢を見ているの?)
二日連続で同じことを思うなんて、我ながら情けないけれども、信じられないのだから仕方がない。わたくしは思わず首を傾げた。
「どうしてここにいらっしゃるのですか?」
「どうして? もちろん、桜華に会うためだよ。孝明に聞いたんだ。寝付けなかったらしいね。きっと昨日のことが響いたんだろうと様子を見に来たんだ。君は慈悲深く、とても優しい女性だから」
「昨日……」
動揺を必死で押し隠しつつ、わたくしは静かに息をのむ。
(大丈夫。龍晴様が仰っているのは天龍様のことじゃない。魅音様のことよ)
絶対そうに違いない。わかってる。
だけど、これまでこんな形で彼がわたくしの部屋を訪れることはなかった。当然、驚かずにはいられない。
そもそも、昨夜は後宮ではなく内廷で休んでいらっしゃったのだし、こんな早朝に後宮を訪れること自体が異例中の異例だ。本当にどうしたというのだろう?
まだ回転の鈍い頭を必死に働かせつつ、わたくしはニコリと微笑んだ。