君は私のことをよくわかっているね
「あの……龍晴様」
「うん、なんだい?」
「その――――わたくしでは、ダメでしょうか?」
それは魅音様が入内した2年前から、ずっと言えずに飲み込んでいた言葉。
心臓がバクバクとうるさく鳴る。怖くて顔が上げられない。
龍晴様はしばらくの間、なにも言わずに黙っていらっしゃった。数秒がまるで永遠のように感じられる。
沈黙に耐えかねて口を開こうとしたとき、龍晴様の指先がわたくしの顎をそっと掬った。
「わたくしでは? ……それは一体どういう意味だい?」
どこか扇情的な眼差し。わたくしは頬を染めつつ、そっと視線だけを横向けた。
「ですから……わたくしを、龍晴様のお手つきにしてはいただけませんか? わたくしは龍晴様をお慕いしているのです」
女のわたくしから、こんなことを尋ねるなんてはしたない。とても恥ずかしいことだってわかっている。
けれど、想いは言葉にしなければ伝わらない。
じれったい。苦しい。
龍晴様はなにも言わない。
泣くまいと心に決めていたのに――瞳に涙がにじんだ。
「うん、なんだい?」
「その――――わたくしでは、ダメでしょうか?」
それは魅音様が入内した2年前から、ずっと言えずに飲み込んでいた言葉。
心臓がバクバクとうるさく鳴る。怖くて顔が上げられない。
龍晴様はしばらくの間、なにも言わずに黙っていらっしゃった。数秒がまるで永遠のように感じられる。
沈黙に耐えかねて口を開こうとしたとき、龍晴様の指先がわたくしの顎をそっと掬った。
「わたくしでは? ……それは一体どういう意味だい?」
どこか扇情的な眼差し。わたくしは頬を染めつつ、そっと視線だけを横向けた。
「ですから……わたくしを、龍晴様のお手つきにしてはいただけませんか? わたくしは龍晴様をお慕いしているのです」
女のわたくしから、こんなことを尋ねるなんてはしたない。とても恥ずかしいことだってわかっている。
けれど、想いは言葉にしなければ伝わらない。
じれったい。苦しい。
龍晴様はなにも言わない。
泣くまいと心に決めていたのに――瞳に涙がにじんだ。