君は私のことをよくわかっているね
***



 あれから、一年の月日が過ぎた。
 わたくしは天龍様と結婚し、天界でとても穏やかな生活を送っている。

 ここには夢見ていたすべてのものが揃っていた。

 わたくしは今、天龍様の唯一の妻として、彼に心から愛されている。
 地界の――わたくしの国では、男性が複数の妻を持つことが当然だったから驚いたのだけど、天界では重婚は認められていないらしい。
 
 誰を羨むことも、妬むこともない。
 恨まれることも嫉まれることもない。

 それから、わからないと憤ることも、わかってほしいと涙することもない。

 ただひたすらに幸せで、温かくて、本当に夢のような生活だ。


 龍晴様や地界の様子については――彼のことは気になるものの、あえて見ないようにしている。
 龍晴様がわたくしの願いを叶えてくださらなかったように、わたくしも彼の願いを叶えてあげることはできない。なんと言われても彼のもとに戻るつもりはない。

 けれど、決して不幸になってほしいわけじゃなく、できれば幸せになってほしい。わたくしは心からそう願っている。


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