報われないとしても、好きだから
「…〜であるからして〜…」
長い校長先生の話を右から左に流してちょっと居眠りをしていたら案外入学式はあっという間に終わった。
「入学式に寝るとかさすが蓮。」
体育館から教室に戻る途中聞きなれたバカにしたような声が聞こえ後ろを振り返る。
「何よー爆睡してないんだからいいでしょ。」
「ばーか。普通は寝ないもんだよ。」
ふっと笑って頭にぽんっと手を置いて横に並ぶこいつは幼稚園からの幼馴染の七瀬 悠莉。
見た目は子犬みたいに可愛くて、栗毛の髪は子犬感を増しにするほどよく似合っている。
身長が165センチで少し低めだけどそれもまた女子ウケがいいのか本人はあんまり気にしてないみたい。
人見知りをするけど仲良くなったらちょっと毒舌になるのが玉に瑕。