恋愛体質
 月曜は忙しかった。あっという間に昼の休憩になった。

「雨降ってるかな?」

「傘いるかな?」

「降ってるって。」

 同僚の奈津美や絵里とランチの買い出しに出た。

「どうする?雨降ってるみたいだからコンビニでいい?それともお弁当屋さんに行く?」

 私はほかの2人に聞いた。

「私はコンビニでいいや。絵里は?」

 奈津美が絵里に聞いた。

「私もコンビニでいいですよ。っていうかどっちみちコンビニは寄るから時間もったいないし。早番だから混んでるでしょ。」

 私たちは今の時期は早番と遅番の2編成に別れて昼休憩を取っていた。

 今日はたまたま奈津美と昼休憩が同じなので一緒に食べられる。

 エレベーターで1階に降りてエントランスを歩いていると同期の男子で営業の木村君と会った。

「お疲れ様。」

 私たちは声をかけた。

「お疲れ。」

 木村君は私たちに軽く手を振ってエレベーターの方に向かった。

「あ、高橋。聞いた?」

 通り過ぎてから木村君が思い出したように私に声をかけた。

「何?」

 私も振り返って聞いた。

「ああ。まだなんだ。なんでもない。聞かなかったことにして。じゃあね。」

 わけのわからないままの私を置き去りにして木村君はエレベーターに乗って行ってしまった。
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