恋愛体質
「お姉ちゃん、土曜日なんか予定ある?」

 トーストをかじりながら聞いた。

「パーティーだよ。婚活。婚活。」

 姉はコーヒーを立ったまま急いで一口飲んでから答えた。

「そっか。ならいいや。」

「何?」

「服買うの付き合ってもらおうかと思ったんだよ。まあいいや。髪も切りたいし。」

 姉の目がいたずらに光った。

「優希、またイケメン見つけたね。」

「そうじゃなくて。営業になるの。今度。だから。」

「へぇー。すごいじゃん。出会いもあるかもよ。」

 姉の発想はすべて男へつながる。

「でも土曜日はダメだ。私の人生かかってるから。美容室、あそこよかったよ。駅の反対側に新しく出来たの。けっこうよかったよ。」

 姉はコーヒーを飲みながらのんびり話していた。

「ヤバい。もう行かなきゃ。」

 慌てて洗面所に歯磨きをしに行った。
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