恋愛体質
「昨日、イケメンお持ち帰りしたでしょ?」

 始業前にロッカーで奈津美と会った。

「お持ち帰りって、偶然駅が一緒だったんだよ。」

 まるで私がわざと仕組んで2人で帰ったような言い方をされては語弊があるというものだ。

「駅が一緒どころかなんと家は徒歩10分の距離。」

「ホントに?」

「そう。偶然。」

「狙ってた?」

「は?」

「だって、あの人イケメンだったじゃん。落ちたでしょ?」

「落ちてない、落ちてない。誰があんなヤツ。ナルシスト。」

「ムキになるところが怪しい。」

「怪しくないって。私はプリンスがいいんだから。今日は会えなかったけど。」

「プリンスってMr.のど飴のこと?」

「そう。Mr.のど飴。いなかった。」

「また会えるかもしれないね。」

「うん。会いたい。」

 私達はそんなことを言い合いながら自席に向かった。
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