恋愛体質
　荒川さんが戻ってきて佐藤さんと調整を始めた。

　私は荒川さんの脇で自分のシフトを見ながらぼうっとしていた。どうすることも求められていなかったし出来ることもなかったから。

「じゃあ明日からこれでいきましょう。」

　荒川さんが佐藤さんに言った。

「はい。お願いします。」

　佐藤さんが荒川さんに答えてから思いついたように付け足した。

「今日はどうですか？これからＷＴＣ何店舗か回るつもりなんですけど。」

「今日か。」

　荒川さんは思案しなからシフトを見た。私は困惑顔で荒川さんを見た。

「なんだ？何かあるのか？」

　荒川さんが私に聞いた。

「い、いえ。別に。でも急に･･･」

　私は口ごもった。

「今日ね･･･大丈夫ですよ。休みもいないし何とかなるでしょ。」

　荒川さんが佐藤さんに言った。

　私は隣で泣きたくなってきた。

「じゃあ高橋さん、すぐ出られるように準備して。」

　荒川さんが私に言った。

「はい。」

　そう答えるしかなかった。

「じゃ、準備出来たら声かけてくれる？」

　佐藤さんが私に言った。

「あの、何を持てばいいんですか？」

　私は佐藤さんに聞いた。

「とりあえず今日は何もいらないよ。名刺と筆記用具くらい。」

「わかりました。」

　私は男性２人の後についてブースを出た。
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