恋愛体質
　佐藤さんが気難しい顔をしながら休憩室でコンビニ弁当やスイーツを食べているのが頭に浮かんで可笑しくなった。

　にやけた表情を慌てて引っ込めた。佐藤さんが私を怪訝そうな顔で見た。

「何？」

「なんでもないです。」

　堪えようとすると余計に笑いが込み上げてくる。

「何だよ？」

「すいません。」

　どうしても笑いのツボに入ってしまい、こらえきれずに１人でクスクスと笑ってしまった。

　佐藤さんは初めこそムッとしていたがそのうち呆れたように私を見て黙ってしまった。

「変なヤツ。」

「すいません。」

　私は何とか笑いの発作をおさめて向き直った。顔が上気してほてっていたので手をパタパタして扇いでみた。

「どう？感想は？」

　蕎麦を食べながら佐藤さんが聞いてきた。

「え？美味しいですよ。」

　私は口の中のものを咀嚼し終わってから答えた。

「そうじゃなくてさ。仕事だよ、シゴト。」

　アホかという顔で私を見ながら佐藤さんが言った。

「あ、ああ。」

　ちょうど口をつけたときだったからてっきり蕎麦の感想かと･･･我ながら間抜けさに呆れた。

「緊張しました。」

　赤面を引っ込めて言った。

「緊張するよな。始めは。」

　佐藤さんが言った。

「だんだん慣れてくるよ。」

　そういうとまた蕎麦を食べはじめた。
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