恋愛体質
何か腑に落ちない感を拭えないまま携帯のアラームを確認した。
何かを考え込むには疲れすぎていた。

(まあいいか。6時45分には起きるつもりだったわけだし。)

そう思って考えるのはやめた。
また肩まですっぽりと暖かい布団に潜り込むといつのまにか眠ってしまった。

「6時30分だよ。」

携帯のアラームを止めるとすぐに成沢に電話をした。何回もコールしてやっと寝ぼけた様子の成沢が出た。

「ちゃんと起きてよ。もう起こさないからね。」

私は電話を切ると洗顔をして着替えた。姉の部屋から借りてきたスーツはサイズはぴったりだったし違和感もなかった。

化粧とドライヤーをしてからリビングに行った。

「おはよう。」

「あれ?それ私のだよね?」

姉が言った。

「そう。借りた。」

私はパンをトースターに入れながら言った。

「どうしたの?スーツなんて。そんなのあったんだ。忘れてた。」

姉が言った。

「営業だからさ。」

私はコーヒーをカップに入れながら言った。

「そっか。そう言ってたね。」

姉は先に食べ終わったらしく、コーヒーを飲みながら話していた。

「昨日から先輩と一緒に外回りしたんだよ。超疲れた。」

「へえー。すごいじゃん。 」

「足ぱんぱんだよ。寝てもまだ取れないよ。」

「ああ。靴、置いてあったね。」

「うん。買った。」

私は食べはじめながら言った。

「おはよう。」

母がキッチンから出てきた。
< 65 / 113 >

この作品をシェア

pagetop