恋愛体質
「ラッキーって?」

私は慌てて目を逸らしながら言った。

「お前、今俺にクラっときただろ?」

フッとまた不敵な笑いを浮かべて言った。

「は?意味わかんないし。」

成沢の方は見ないようにして猛然と歩いた。

(あーもう始末に悪い!)

成沢は自分のかっこよさに気づいてて。

彼がニッと完璧な歯並びを見せて笑うとたいていの女の子は強烈な一撃を受けて剥き出しのハートがドキンと跳ね上がる。

その笑顔が効果覿面の強烈な武器だってこと、そしてそれをどんなシーンで使えばより効果的かってことをちゃんと知っているのだ。

本能的に。裏打ちされた経験としても…

(反則だ。笑顔が完璧過ぎる・・・)

成沢の言った通りだ。雷が落ちたように完全にやられてしまった。「魅力的」なんて言葉では物足りない。

あんな笑顔を向けられたら・・・吸い込まれるように見つめてしまい目が離せなくなる。つられるように自分の口元がほころんでしまう。

慌てて目を逸らしたものの、胸はまだドキドキしていた。こんなふうに心臓がバクバクしているのは早足で歩きすぎたせいだ。

駅で自動改札を通り慌ててエスカレーターに乗りながらそう自分に言い聞かせた。
< 69 / 113 >

この作品をシェア

pagetop