いつも側にいてくれたね
キスのあと、お互いがとても照れてしまって目線を合わせられない。
いつか遥生の部屋でお喋りした時の様にベッドサイドに寄りかかって並んで座り、お互いに言葉を待った。
「あっ、そうだ!」
その沈黙を破ったのは私で。
私はまだ修学旅行のお土産を遥生に渡していないことを思い出し、スーツケースからぐるぐる巻きのタオルを取り出して、
「遥生にお土産があるの。これなんだけど。はいどうぞ」
遥生はタオルを受け取ると、
「なんだよ、この使い古したタオル。こんなの要らねーよ」
「違うよ。その中に入ってるの。タオル解いてみて」
遥生はぐるぐる巻きのタオルを解いて小さな箱に辿り着くと、
「これ、なに?」
その小さな箱を不思議そうに遥生が見ている。
「遥生、開けてみて。壊れてないといいけど」
箱を開けた遥生は中に入っていたガラス細工のブレスレットを取り出し、
「おお! なにこれ、ブレスレット? うわ、かっこいいな」
「良かった、壊れてなかった。これね、私とペアなの。これが遥生で私のはこっち。かわいいでしょ」
お店に並んでいたこのブレスレット、本当は2本のブレスレットがワンセットで売られていて、本当は1人でこの2本を付けるのが正解なんだと思う。
でも予算が厳しかった私はこのブレスレットをペアとして買ったの。
遥生には龍がついている方を、私には勾玉がついている方を。
「マジかっこいいな、これ。夏芽ありがとう! 早速つけてみよう」
遥生がとても喜んでくれて良かった。
「この対のブレスレットをつけ続けている間は遥生と私がずっと一緒にいられますようにって。そう思って買ってきたの」
「俺たちはこのブレスレットが無くてもずっとずっと一緒にいるだろ」
「うん。ありがとう遥生。もし喧嘩しちゃってもずっとこのブレスレットをつけていてくれる? 外されちゃったら悲しいよ」
「夏芽はなんでそんな可愛いことをサラッと言うんだよ。また襲うよ」
「やだよ。今日はもうドキドキしすぎでパンクしちゃう。また今度・・・してね」
「ははっ、夏芽が何をして欲しいのか分からないけど、また今度にとっとくわ」
もう、分かってるくせに。
遥生はやっぱりいじわるだ。
「遥生の・・・ばか」
初めてのキスはとてもドキドキして。
とても幸せな気持ちになった。
綾乃に遥生のどこが好きなのか聞かれて答えられなかったけど、遥生のことは理屈じゃなくて大好きなんだよ。