いつも側にいてくれたね
「遥生!! なにやってんの」
私の部屋のドアの前にいつの間にか直生が立っていて、遥生を止めようとしている。
「夏芽、遥生が突然ごめんね。僕は元気だしいつも通りだよ。遥生の勘違いだから」
「何が勘違いだよ。直生は最近おかしいだろ。何か悩みがあるんだろ。その悩みは夏芽の事じゃないのかよ」
遥生の私に向けられていたイライラが今度は直生に向いて、2人は一触即発の状態。
「私の事って、直生どう言うことなの?」
「夏芽、本当に遥生の誤解なんだ。夏芽は何も心配しなくて大丈夫だからね。さ、遥生、帰るよ」
直生は遥生の腕を掴んで私の部屋から出るように遥生を促した。
「分かったから手を離せよ、直生。何を考えてるのかちゃんと話せよ」
遥生の気迫に負けたのか、直生が
「分かった。遥生には話すよ。その代り、遥生も僕に本心を言って欲しい」
「ああ、直生が俺に聞きたいことがあるならなんでも話す」
遥生の返事を聞いた直生は
「夏芽、騒がしくしてごめんね。これは僕らの問題だから夏芽には関係ないんだ。もう帰るから気にしないでね」
そんなこと言われたって、気にならない訳ないじゃない。
「その話は私が一緒に聞いてはだめなの? 気になるよ、直生」
私のことで直生が悩んでいるって。
そんなこと言われたら私だって気になるよ。
「まずは俺と直生で話すから。夏芽はここで待ってろ」
遥生にそう言われてしまったので、そこから先に私は入ることはできなかった。
直生と遥生が私の部屋から帰り1人残されると、何故だか2人がとても遠くに行ってしまったように感じて淋しくなった。
私たち3人は今までなんでも話したし、秘密なんてなかったのに。