いつも側にいてくれたね
玄関を出ると門の前に直生が立っていた。
「夏芽、おはよう」
「おはよう直生。そんなところに立ってどうしたの?」
「夏芽、今日のデートは行かないで欲しい」
「どうして? 直生は私を応援してくれるって言ってたじゃないの」
「本当にごめん。それでもやっぱり夏芽には僕たちと一緒にいて欲しいんだ」
「直生、急にどうしたの」
生まれた時からずっと一緒に過ごしてきたんだもん、直生のことは良く分かっているつもりだよ。
でもこんなことを言う直生は初めてだった。
あの時の2人の話し合いの中で何かがあったことが原因でしょ。
「うん、分かった。デートはお断りするよ。その代り、直生と遥生の話をちゃんと聞かせて」
直生は少しの沈黙のあと、静かに私に約束してくれた。
「そうだよね、夏芽はずっと気にしていてくれたもんね。今日これから話すよ。夏芽の部屋で話せるかな」
「遥生は? 一緒じゃなくていいの?」
「遥生はさっき出掛けてしまったんだ。だから僕から夏芽に話したい」
直生から何か大切な話をしようとしていることが伝わってきた。