いつも側にいてくれたね
「夏芽、前に夏芽に僕たちのことをもう少し男として意識して欲しいって言ったの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。私が遥生と喧嘩しちゃった時に直生に言われたんだよね」
「僕たちは夏芽の中で少しは幼馴染から昇格したかな?」
「昇格とか良く分からないけどね、遥生と喧嘩した時とか直生に坂野くんのこと応援するって言われた時はとっても淋しかったの。なぜか胸が痛かった」
「あの時、淋しいと思ってくれていたんだね。なんか嬉しいな」
やっと直生が笑ってくれた。
「直生、話してもらえるなら直生と遥生が話し合ったこと、聞かせて」
「うん。でもその前に僕から夏芽に聞きたいことがあるんだけど、いいかな」
「聞きたいことってなに?」
直生はふぅと短く息を吐くと、私が予想もしていなかった質問をしてきた。
「夏芽は今好きな人いる?」
質問してきた直生の真っ直ぐな目線を見て、正直に答えなきゃいけないって思ったの。
「それって恋愛対象の好きってこと? だったらいないよ。坂野くんも別に嫌いじゃないけど、恋愛の好きでもないし」
「そっか。僕と遥生のことはどう思ってる?」
「直生と遥生・・・もちろん好きだよ。2人は私の一番大切な人」
「じゃあ質問を変えるよ。遥生のことはどう思ってる?」
「遥生? 今言ったとおりだよ。大切な人だよ」
「ううん、そうじゃなくてね。遥生は恋愛対象にはならないかな」
「だって遥生は私のことそんな風に思ってないでしょ。遥生は少し昇格した幼馴染だよ」
「そっか。答えてくれてありがとうね、夏芽」
「うん。私に聞きたいのはそれだけ? じゃ、今度は直生と遥生のことを教えて」
「夏芽、驚かないでね。あのさ、遥生にはね、好きな人がいるんだ」
「えっ? 遥生・・・に?」
思いもしない直生からの言葉に頭の中が停止した。
遥生には好きな人がいるの。
そんなの全然知らない。
私、そんな遥生なんて知らない。
「だからね、さっき夏芽が遥生に対しての好きは恋愛対象の好きじゃないって聞いて安心したよ」
「あの、えっと。遥生が・・・」
私は動揺が隠せなくて、次の言葉が出てこない。