いつも側にいてくれたね


どれくらいの時間が過ぎたのだろう。

気が付いた時、隣に夏芽が倒れていた。

「夏芽! 夏芽! 起きて、大丈夫? 夏芽!」

夏芽に一生懸命声を掛けた。

お願いだから目を覚まして。

夏芽の隣に横たわっている自分の体の下からは真っ黒い液体がたくさん流れ出ている。


「えっ? これは・・・?」


何故か並んで横たわっている3人を上から眺めていた。

これは一体どう言うことなの。

夏芽の隣にいる自分の体をどうして上から見ることができるの?

ケガもしていなくてこうして立っているのに。

ほら、ちゃんと両足で立ってるでしょ。

下を向き自分の足を見る。

自分の伸ばした手を見る。

その手で顔を、頭を、おなかを触ってみる。

何もかもが透明で、何もかもが無かった。

この状況が理解できず横たわっている3人の体を呆然と眺めていた。

自分の体と夏芽の体だけ全然動いていないことに気が付いて、イヤな予感がしたんだ。


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