いつも側にいてくれたね


遥生の学校に着くと、もうたくさんの人がいて1人では本当に迷子になりそうだった。

「遥生のクラスって何をやってるんだろうね。食べ物屋さんだったらいいな」

「あはは。まだ朝ごはん食べたばっかりなのに夏芽はもうお腹空いたの?」

「ちっ、違うよ。お昼ご飯の心配をしただけです! もう、早く遥生のクラスに行こうよ。遥生って何組なの?」

「えっと、確か1年F組だったかな。あそこにイベントの案内板があるから見に行ってみよう。おいで夏芽」

「うん」

相変わらず直生は私の手を握ったまま離さない。

本当に罰ゲームなんですけど。

私たちは手を繋いだまま案内板の前で1年F組を探す。

「あっ! 直生あったよ、F組。えっと、何やってるんだろう」

「どれ? あー、夏芽残念だね。遥生のクラスは食べ物屋さんじゃないね」

「本当だ、残念」

「あははっ、夏芽は本当に分かりやすい。いいね、その反応」

「じゃあ、食べ物屋さんは後で探すとして。遥生のクラスは仮装写真館だって。なんか面白そうだね。早く行こうよ、直生」

私たちが案内板から立ち去った後、そこにいた遥生の同級生たちが大騒ぎしていた。

『今のF組の湯川くんだよね』

『女の子と手を繋いでなかった?』

『えーーっ、なんかショックなんだけどぉ』

こうして遥生にはかわいい彼女がいると、瞬く間に噂になった。


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