いつも側にいてくれたね
「ね、私の顔よーく見て。手を繋いでいたのは私だったよね?」
私は彼女を見たと言った子に顔を近づけてもう一度確かめてもらった。
この子たちが見たのは私と直生だったって言って欲しかった。
「うーん、違う人だったよ。湯川くんに彼女がいてショックなのは分かるけど、湯川くんと一緒にいたのはあなたじゃないよ」
この子、本気で言ってるの?
遥生に彼女がいるって、本当なの?
遥生は一体誰と一緒にいたの?
「ね、どうする? 湯川くん呼んでくる? 湯川くんは彼女と一緒にいるみたいだけど、まだ会いたい?」
メイクをしてくれた子が私に聞いてきた。
「あっ、会いたくない。もういいです。あの、私。撮影の協力できなくなってしまったので、もう着替えて帰ってもいいですか?」
「そっか。湯川くん目当てで他校からわざわざ来たんでしょ。ショックだよね。帰るならシニヨン作り直すよ」
「髪型は自分でできるので大丈夫です。着替えたら帰ります」
遥生の噂を聞いているのが堪えられなくなって一人更衣室に戻った。