いつも側にいてくれたね
ここに遥生と2人きり。
遥生は下を向いて目線を合わせられないでいる私に問いかける。
「夏芽は直生のことが幼馴染以上に好きなのか?」
「えっと私は。直生のこと大好きな幼馴染だと思ってる」
「じゃあなんで教室で抱き合うんだよ」
「それは・・・」
私が煮え切らない態度で言葉を発せないでいると、
「俺、別に怒ってなんかない。でも本当のことを知りたいんだよ。そうしないと俺の気持ちの行き場が無いんだよ」
「遥生、本当に怒っていない?」
「俺、夏芽には怒らないよ。そりゃ喧嘩する時はあるけど。そんなのいつも本気じゃないだろ」
「うん。そうだね」
「夏芽、どうして直生と、その。抱き合ってたんだよ。」
「あれは。あれはね」
「うん。ゆっくりでいい。ちゃんと聞かせてよ」
「遥生のクラスの子たちが遥生と彼女が仲良く歩いている所を見たんだって。目撃したのは1人じゃなくて何人も見たんだって」
「それはマジでない。誓ってもいい。俺は誰とも一緒に歩いていないから」
「だって、遥生と彼女は仲良く手を繋いでたって。私、皆が直生のことを遥生だと勘違いしたんだと思ったの。でも違うって」
「それさ、仲良く手を繋いでいたのは夏芽たちだろ」
直生と手を繋いでいたのは、特別な気持ちがあってのことじゃない。
でも遥生は、違うんでしょ。
「遥生と遥生が想っていた人の気持ちが通じ合ったんだな、良かったな・・・って」
あ、泣きそう。
どうしよう。
今泣いちゃだめ。