いつも側にいてくれたね


「夏芽、俺さ。ずっと長い間好きな人がいるって言っただろ」

私は頷くだけしかできない。

「俺の気持ちを伝えてしまったらこれまでの関係が終わっしまうんじゃないかって、怖くて言えなかった」

遥生は彼女との馴れ初めを私に話そうとしているの?

そんなの聞きたくないよ。

「夏芽、ごめんな。ずっと打ち明けられなくて、ごめん」

どうして遥生は私に謝るの。

「ごめんって、どう言う意味なの」

遥生は私の気持ちを知ってしまったから、私に応えられくてごめんって言ってるの?

それを謝られたら余計に悲しくなるよ、遥生。

「ん。俺さ、俺。ずっとずっと夏芽のことが好きだった」

「いいよ。私は大丈夫。これまでと同じ・・・えっ?」

「夏芽、大丈夫ってなに?」

何故か遥生がクスクス笑っていて。

「はっ、遥生、今、なに言った?」

「だからね。俺の好きな人は夏芽なの」

「うっ、嘘だ!」

遥生の突然の告白にびっくりして、遥生の胸を思いっきり押して遥生から離れた。

「なんでだよ、夏芽」

「だだだだって。遥生が今、変なこと言ったから」

「変なことなんて何も言ってないだろ。ちゃんと聞いてたのかよ」

聞こえたよ。

聞き間違いじゃないのなら、遥生が私を好きだって。

「夏芽は、どうなんだよ。その、俺のこと。嫌いか?」

「きっ、嫌いなわけないじゃん」

「じゃあ、好き?」

えっ? 私が遥生に告白する流れなの?

「直生と俺と。同じなのか? それとも直生が好きか?」

「なっ、直生のことはもちろん大好きだよ。でも、でもね」

「うん」

「遥生への好きは泣きたくなる好きなの。自分でも分からないの」

「夏芽、ちゃんと言って。分からない事ないだろ。俺のこと、どう思ってる?」

「私、遥生のことが・・・好き、です」

「夏芽、ありがとう。夏芽の気持ち、ちゃんと伝わったから」


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