いつも側にいてくれたね
パチ パチ パチ パチ
何の音?
私と遥生はお互いから目線を外し、パチパチと聞こえる方を見る。
そこには私たちから少し遠巻きに円を描くように多くの生徒たちが集まっていた。
円の中心にいるのは私と遥生。
パチ パチ パチ パチ
皆が私たちに拍手をしている音だった。
「えっ? これ、何? 遥生、どうなってるの」
「しっ、知らねぇよ。 っつーか、お前ら! 見せもんじゃないから」
遥生が集まっている人たちに言ってくれたけど、誰もここから動かなくて。
「わー、凄い告白を見ちゃった」
「湯川、公衆の面前で良く言った!」
「どんな出し物よりもドキドキしたー」
皆、色々な事を言っている。
その輪の中に直生もいて。
「ね、これで僕とあの子が付き合ってるなんて誤解だったでしょ。それに遥生にはたった今彼女ができたところだから、本当のことだけを信じてね」
直生は遥生のクラスの女の子たちに嘘の情報を流さないように釘を刺してくれていた。
私は顔から火が出るほど恥ずかしくて、目で遥生に助けを求めた。
「よし、夏芽! ここから逃げるぞ! おいで」
遥生は私の手を取ると、その輪から外に向かって駆け出した。
遥生の学校の人たちに告白を見られたことよりも、こうして遥生が私の手を握ってくれていることにドキドキした。
私と遥生がいなくなると、見物していた生徒たちもそこから離れて行ったのに、直生だけがその場から動けなかった。