いつも側にいてくれたね
「ねぇ夏芽、この班分けってさ、なんなの? 修学旅行中はほとんどの時間をこの班で行動するんだよな?」
「うっ、うん。そう・・・なのかな」
遥生にしおりを見せるんじゃなかった。
「なんか気に入らない」
気に入らないって言われてもな。
「そう決まっちゃったんだもん」
「それに一番気に入らないのが夏芽の班。夏芽と同じ班のこいつら誰なんだよ」
「えっと、私の班はね。私でしょ。綾乃でしょ。あとは・・・遥生の知らない2人。です」
「だからさ、なんで俺の知らない男2人が一緒の班なんだよ」
「そっ、それは綾乃がその2人と仲がいいからさ。私は綾乃と一緒の班になりたかったし。別に私はこの2人とはあまり接点が無いって言うか、ね」
「直生のしおり見てて嫌な予感がしたんだよ。的中だったな。夏芽、旅行の朝熱出せよ」
「あははっ、遥生面白い。熱出せってなによ。笑っちゃうじゃない」
「やだよ。夏芽が他の男と一緒にいるの、やだ」
「無理言わないで、遥生。そんなに拗ねないでよ。仕方ないじゃない、学校の行事なんだから」
遥生がこんなにやきもち妬きだったなんて知らなかった。
全然妬いてくれないのも淋しいけど、要らない心配なのにな。
「なんで夏芽はニヤついてんだよ。なんかムカツク」
「遥生ってこんなにかわいいこと言っちゃうんだ。遥生大好き」
「俺はかわいくなんてない!! ばか夏芽」
私にばかって言って遥生が私に背を向けてしまった。
「遥生、怒ったの?」
「・・・。」
「ねえ、遥生ってば」
遥生が後ろを向いたまま返事してくれないから、遥生のシャツの裾をキュッと引っ張ってみた。
「遥生、こっち向いてよ」
「ああーーっ、夏芽ほんと、ばか!」
また私にばかって言いながら私の方に振り返った遥生の顔が少し赤くて。
「遥生、顔、あかっ・・・」
「ばっ! 見るな」
遥生は照れた顔を見られたくないのか、私にふわっと抱き着いた。
私の顔は遥生の胸の中に埋もれて、遥生の表情が見れない。
「は、るき?」
「ちょっと黙ってて。もう少しこのまま」
まだ遥生とギュッてするの慣れてないし、緊張するよ。
私の方こそ今の顔を見られたくない。
多分、遥生以上に真っ赤になってる。