嫌いな君の気持ちが知りたい

 レイカはチヅルの方を向いて、小さい声で何かを話して、笑っている。塚原の授業のときはいつもこんな感じだ。
 レイカとチヅル以外も現代文を真面目に受けようとしているクラスメイトはいない。教科書を立てて、スマホを横持ちしてゲームをしていたり、動画を見ているヤツも少なくとも5~6人くらいいる。そして、もちろん寝ているヤツもいる。後ろから寝息が聞こえる。きっとカノウの寝息だ。
 
 カノウが私の後ろの席になったのは最悪だ。
 カノウ――。カノウはクラスの一軍男子で、その中でも女子人気が高い。理由は簡単で顔が整っていて、少しチャラいからだ。髪はパーマがかかっていて、長めだ。筋の通った小ぶりな鼻と小さい顔、そして、二重でくっきりした両目。薄い口唇はなぜか男らしく見えた。
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