拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

騎士団へ


「付き合わせてしまってごめんなさいね」

 騎士団の練習を見に行きます。今日は練習試合だそうで、前回来た時よりも見学者が多いですわね。アデール(メイド)ダニエル(護衛)に声を掛ける。

「騎士団の練習試合は人気がありますからね。お嬢様は閣下を応援なさるのでしょう?」

「迷惑にならない程度に……心の中で応援するの」


 あら、扇子にお名前を書いて振っていらっしゃる方がいますわ! 応援する隊員のカラーがあるのね。色とりどりで見ていて楽しいですわね。

 え? 推し色と言うのね。同じ隊員を応援している方達は纏って座るのがルールなのかしら?

 あら。勝った隊員が応援隊の方達に手を振っているわ。

 え? あぁ、そうですの。応援してくれている感謝の気持ちのサービスなの? それは双方共に盛り上がりますわね。
 


「閣下が出て来ましたわ!」
「新人が相手ですので結果はすぐに、」
「あら! 勝負がつきましたわ。本当にお強いのですね」
「手加減なしかよ……」

 ダニエルは見ていて分かるのですね。手加減はするものなのかしら? それにどうして新人だと分かるのかしら? 

 え? 剣の持ち方? 剣の構え方? 雰囲気? キャリアが違うのだそうですわ。
 あら。負けた方の応援隊の方達ががっかりされていますわ……新人の方にもう応援隊が? 

 え? デビュー戦? ってなんですの!
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