拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
「応援隊の声援がうるさくて集中できなくて手元が狂ったんだよ! 中にヤバめの応援隊がいるんだ……」
レオンに夢中になり、他の応援隊の令嬢と張り合っているんだとか? レオンのいる所に神出鬼没にいたりして、令嬢はレオンに付き纏い行為をしているとか?
しかし……あの令嬢は昔から出入りしているよな? 静かに応援をしていたはずなんだが……? 最近では人が変わったように思えた。子爵家の令嬢で迷惑行為に関して抗議をしたと聞いている。
「このままにしとくわけにはいけないな。エスカレートするならしばらく練習場は関係者以外立ち入り禁止にすることも出来る。マナーの悪い応援隊がいるのも確かだ」
エスカレートする前に、一時閉鎖も考えた方がよさそうだな。
「楽しみにしてくれている人たちがたくさんいるから、それは最後の手段に取っとおいてくれ。何かあっても令嬢に腕で負ける気はしないしな」
「そりゃそうだ、怪しい令嬢の差し入れは口にするなよ。何が入っているか分からんからな」
「わかっている。だからあの子の差し入れを食べるんだ。純粋に皆への差し入れだったからな。お前は何を食っても平気そうだから代わりにくれてやるが?」
怪しいものを人に渡すなっ!
「いらん。お前のことを思って差し入れしたんだろう? 怪しければ調べてもらえ。何かやばいものが見つかるかもしれんぞ」
冗談混じりに言った。騎士団は人気で練習試合となると告知をして人を集めると男女問わず見学に来る。
騎士団は隊によって王都の警備に当たっているので市民からも絶大な信頼があり、人気の騎士は市民にキャーキャーと声援を向けられることもある。
王都の騎士団は花形の職場で平民登用された騎士の家族は一生安泰なんて言われるほどエリートだ。
レオンの家は侯爵家で嫁に行きたい令嬢があれよこれよとレオンに言いよる。先ほどの令嬢もその一人だ。揉め事がなければいいのだが……
とにかく私は休暇を勝ち取った。