拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
「あら。わたくし……両親に相談もなく閣下からのプロポーズを受けてしまいましたわ……」
閣下と繋いでいる手をきゅっと握りしめてしまいました。どうしましょう。
「それなら(問題ないけれど……)今から報告へ行こう」
「閣下も一緒にですの?」
「ちゃんと許しを貰いたいから、準備も進めたい」
準備って……結婚の……?
「あの、両親に反対されても返却不可ですわよ?」
相談もなしに勝手にと怒られるかしら……でも、閣下のことをお慕いしている気持ちに気がついてしまったら、嘘はつけませんわ。
「ははっ、面白いな返却不可とは。もしダメだと言われたら攫っていくから覚悟しておいてくれ」
……素敵。閣下はわたくしの欲しい言葉をくれるヒーローですわ! 心は既に攫われてしまいましたわ。
「約束ですわよ?」
微笑まれましたわ! 素敵すぎてクラクラしてきましたわ……