拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
「まさか寝不足の原因が閣下だとはねぇ」
「お話をすればするほど素敵で、でもレイ様は私なんかに興味がないと思っていたから」
送って貰った次の日に恋人になったのによく言うわ(今は婚約者)
「その指輪……凄いね」
「レイ様がプレゼントしてくださったの」
絶対に高いやつ!
「珍しい色じゃない?」
「レイ様の瞳の色に似ているでしょう? 透き通っていてでも艶があって」
「あれ? ネックレスやイヤリングもお揃いなんだね」
どれだけ愛されてるのっ!! グレーダイヤなんて貴重な物なのに。
「レイ様が私に内緒で注文してたの。指輪だけでも勿体のに、公爵家のデザイナーさんもドレスを作ってくるし、お義母様がプレゼントしてくださって断れなくて」
だから最近ドレスのセンスが変わったのね。可愛らしいけれど清楚な感じがとてもよく似合う。
「ねぇ、それって悩みなの?」
「うーん、悩みといえばそうかもしれないけれど……」
「持たないものからしたら、嫌味に取られるかも知れないから気をつけてね……でも悩みなら相談に乗るわ、一人で悩むとまた倒れるよ。リュシエンヌは真面目だから……」