拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。


「はい、大丈夫ですわ、ご心配は不要ですわ」

 男性に笑顔で答えたらホッとした様な顔をされました。礼をされましたので私も頭を下げました。それにしてもレイ様は……あら、ガタイのいいおじ様に捕まっていますわ。これはしばらくかかりそうですわねぇ。

「すみません。もっと周りに気を遣えば良かったです」

 人気No.3の騎士様に謝られてしまいました。

「いえいえ、わたくしが悪いのですわ。あまりこの様な場に来ないものですから……他の方の迷惑になりますので端の方へ移りますわ。それでは、」


 すっと私の隣に人気No.3の騎士様が立って来ました。なんですの? 首を傾げてしまいました。

「隊長が戻るまでお話をしませんか?」

 お断りをしようとしたのです。

「令嬢が一人でいると声をかけられるかも知れません。隊長が戻るまで、その、話をしなくても良いので近くで控えさせてください」

 断れないではないですか……でも

「いえ、もう少しで戻ってくると思いますし、貴方様はパーティーを楽しんでください」

 笑顔で頭を下げて端の方へと移動しました。あら、カクテルを持って来てしまいましたわ。喉が渇いたのでもう一口だけ……


 

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