拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
婚約者としてパーティーに出席します2
「すまない、捕まってしまった……」
レイ様が慌てて戻って来ました。十分程でしたのでよくある事ですわ。急いで戻って来てくださりましたもの。
「ふふっ。大丈夫ですわ。でもお待ちしてましたのよ?」
レイ様にもお断り出来ない方がいらっしゃるんだわ。新鮮ですわね。それからレイ様のお知り合いの方に挨拶をしてまわりました。少しだけ目がとろんとして来ましたわ。
「どうした? 眠いのか?」
「もう、レイ様ったら子供扱いですか……ちょっとだけですわよ、もしかしたら慣れないお酒が、」
「ん? 酒を飲んだのか? いつ?」
「二口だけですわ」
「……私が離れた隙に何があった?」
「レイ様の隊の方とお会いして少しお話をしましたわ。その時にカクテルを渡されて口にしました。でも二口だけです」
「……そうか。目を離すべきではなかったな。ところでどこのどいつがリュシエンヌに酒を飲ませたんだ!」
どこのどいつ……お名前を存じ上げませんのよね。
「えぇっと……」
レイ様の隊の方なのに名前を知らないなんて婚約者失格ですわ……
「なぜ言わないんだ……私がいない間に一体何が……もしかしてそいつの方が、」
何か変な方へ話がいきそうですわ!
「違いますの! レイ様に変な誤解を与えたくはないのですが……私お名前を存じ上げませんの。レイ様の隊の方なのに失礼すぎて言えませんでしたの。申し訳ありません」