拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
「なんだ? 勿体ぶらないで言えよ。何かヒントがあるかもしれないぞ」
「……なぁ、シオンはどうした?」
……休憩になると令嬢に囲まれていた騎士団人気No.3のシオン。練習に出ていたか? 出席は取ったが……
「おい、シオンは今週倉庫番になっている」
倉庫の管理は当番制となっている。整理整頓をし適正在庫を保つ。当番表を見ていた。
「あぁ、そうだな。ソレル嬢とシオンの繋がりはあるか?」
レオンはソレル嬢の名前を出すと嫌そうな顔をした。
「……分からないが、あの女は何をするか分からない」
「……倉庫か、行くぞ」
「……グレイ思ったより落ち着いているんだな」
「……軽蔑するか?」
「いや。尊敬する。いかなる時も落ち着きを持って行動するのが我々騎士団の努めだ」
もちろん気持ちは焦っているが、落ち着いている自分もいる。そんな自分が嫌で堪らない。リュシエンヌの身に何かあったのなら私は──