拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
~少し前に遡り~
モルヴァン伯爵家に遣いを出しリュシエンヌの両親に来てもらい、隊長として謝罪をした。
「レイ様は悪くないの! 私が油断をして、」
「リュシエンヌは黙りなさい。騎士団でこういった事が起きたということが問題なんだ! グレイソン殿どうなんだ!」
怒りを露わにするモルヴァン伯爵。
「……はい。隊員が騎士団でやらかした事は私の責任といえます。いかなる罰でも受けます」
「絶対にこの事が世間に漏れないようにしろ! リュシエンヌを守ると約束したよな!」
「それは勿論のことです。この件に関して知っているものは私の部下で副隊長レオン、実行犯の二人、伯爵家の使用人二人です。連行するにあたって携わった騎士達は内容は知りません。規律違反を犯した騎士を捕らえたとなっています。騎士団本部に報告する義務はありますが、令嬢が関わっていますので漏れることは有りません」
深々と頭を下げた。
「リュシエンヌ、怖かったよな。よく無事でいてくれた……」
夫人に抱かれているリュシエンヌの頭を伯爵が撫でた。
「リュシエンヌはこんな事があって、グレイソン殿を信用出来るか? 一緒にいる価値のある男か?」
……そうなると想像はしていたが、実際に聞くと辛いな……