拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

 嘘を吐きました。少し前から目を覚ましていましたから。気持ちの悪い思いをしたのは確かです。こんな時に打算的な自分に嫌気が差しました。


『それは……怖かったな。ごめん』

 レイ様のせいではありません。私がもっと早く警戒していれば良かったのですわ。浮かれていたんですもの。

『レイ様のせいではありませんわ。私が油断してしまいましたし、でも気持ち悪かったです。私は……レイ様が良いです』

 ポロポロと勝手に涙が出てきました。申し訳なさとレイ様を失うかもしれないと思った恐怖と……やはり私はレイ様と離れたくありませんもの。




 
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