拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
今日の披露宴の衣装は三人でお揃いで公爵家からのプレゼントです。
「うちの両親はリュシエンヌに似てくれて喜んでいるぞ。私に似ると婚期を逃してしまう」
「レイ様はカッコいいです! 今までご結婚されなかったのは、私を待っていてくれたからですわよね? そうに違いありませんわ。運命だったのです」
「運命か……そうだな。この先リュシエンヌ以上の相手に出会えるとは到底思えんな」
ニコラと私にキスをしてくれました。いいお父様になりそうですよね。披露宴は盛大に行われて、皆に祝福されました。婚約破棄されたり、もしかしたら別の方と結婚……があったかもしれませんが、レイ様と結婚できて幸せですわ!
******
それから数年後ニコラに妹が出来ましたの。子供達もすくすく育ってくれて嬉しい限りですわ。それとレイ様は最年少で騎士団の団長にステップアップしました。
「ねぇ、ママはなんでパパとけっこんしたの?」
ニコラが聞いて来ました。気になる年頃なのね。私もお母様に聞いたことがありますもの。
「ママはパパに一目惚れしたのですわ。あれは雨の日でね、とっても優しくて、素敵な声でママを助けてくれたの。パパはママにとってヒーローなのよ」
「ほかにいなかったの?」
「うーん。居ませんわね。だって今すごく幸せですもの。パパと出会った日は運命だったのですよ」
ぎゅうっとニコラを抱きしめて幸せを噛み締めました。
【完】