拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

信用がないと言われる


 ~エリック視点~

『不敬を承知でお話しさせていただきます。私はコリンズ子息の件もあり殿下を娘と婚約させるあるにあたり信用出来かねるのです。王族という身分で一友人の婚約破棄に手を貸し、その令嬢と婚約をしてその事をなかったかのように……娘をバカにしているとしか思えないのですよ。私は娘に次こそ幸せな結婚をして欲しいと思っています。ですから……殿下では娘に不釣り合いです!』

 リュシエンヌは伯爵から愛されているんだな。確かに卑怯な私とリュシエンヌでは不釣り合いだろう。彼女は素晴らしい令嬢なのだから。

「信用がない。というのは、そうでしょう。何度でも謝ります。王子としての在り方もご教授くださり感謝します。その件は真摯に受け止めます」

 伯爵に頭を下げる。本来なら私からの婚約打診は喜ばれる事であり、断るなんてあり得ないだろう。娘に不釣り合い。だなんて普通の貴族は言わない。不敬罪で投獄する事もできる事案だ。

「殿下やめてください! 頭を上げてください。謝罪は受け取りますので、どうか!!」

 焦る伯爵。リュシエンヌは弟にも似ているが伯爵の顔を受け継いだんなだな……似ているというか伯爵の顔にリュシエンヌの面影がある。リュシエンヌの父上に嫌われては元も子もない。どれだけでも頭を下げよう。
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