拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
「……それは、さておき。夫人は今回のエリックと娘さんの婚約の件、どう思っていらっしゃるかご自身の考えを聞かせてくださる? ここはわたくしと夫人しかおりません。不敬だなんて思わなくていいから夫人の意見を聞かせてちょうだい?」
……やはりこのための同窓会だったのね。久しぶりに私に会いたいとなると不自然ですものね。個人的にお付き合いはないのですから。
「わたくしは……失礼ながらこのお話は辞退させていただきたいと思っております」
「それはなぜ?」
「殿下を信用出来ないからです」
「そう、それはなぜ?」
優雅にお茶を飲む王妃様の前で蛇に睨まれたカエル状態の私。頑張れ! リュシエンヌの為よ!
「娘の婚約破棄をされた相手は殿下の友人でした。殿下はその際立会いをされていました」
「……なんですって?」
「ご存知ありませんでしたか? この王宮内で行われていましたのに」