拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

「リュシエンヌが怪我してくれたおかげで成績が上がったわ……ありがとう! 怪我の功名だわ」

「馬鹿な事を言うのはやめてよ……怪我の功名だなんて。私のケガなのに」

 と言って笑った。今日はセシリーにケーキをご馳走する為に街へと出ました。艶々のフルーツに甘すぎない生クリームがなんとも言えないケーキでつい食べすぎてしまいました。家族へのお土産に焼き菓子と紅茶も買いました。ハリスとパティも行きたがっていたので、今度は一緒にいきましょうね。と約束をしました。

 テストが終わると少し長い休暇があります。それから卒業式、入学式となっていきます。

 長い休暇はお茶会に誘われることも多く、お茶会へといきます。私に婚約者がいないのを気にして、主催者は気を遣って? 子息を紹介してくれたりするのですが……疲労が半端ありませんわね。

 毎回子息を紹介され、デートのお誘いなどもあるのですが受ける気にはならず、お茶会へ行くのが辛いですわ……

 趣味は何かと聞かれて、読書や刺繍と言いますと淑女の鏡だとか褒められますが、なんだか古代語に興味があります。というのは言いたくありませんでしたわ。
 会話が続かないでしょうし、興味のない事を話されても困るでしょうから……それになんとなく知られたいとも思いませんでしたもの。
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