前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
「事情は聞いていました。先生も大変ですね」
と、笑いを含んだ硬質の声が耳に届く。
なんでもいいから、早く解放してほしい。
もう別のことでも考えていようと、現実から逃避することにする。
(今日の夕飯、なにかなぁ……)
「よかったらお手伝いさせてください。僕、部活動には入らずに、放課後は本を読んでから帰ろうと思っているんです。その間、彼女に勉強、お教えしますよ」
「……はんびーぐっ!?」
驚きのあまり考えていたことが声に出てしまった。
「ちょ、ちょっと待ってください、今なんて……?」
「だから。一緒に勉強、がんばろう? 日暮さん」
勉強を……一緒に……?
いや。いやいやいやいや。なにをおっしゃる、お蛇さん。
ぶるぶるぶるっと、バターになって溶けそうなほどに首を振る。
「いえいえ! そんな滅相もない!」
「ええっ!? そんな、いいのかい?」
被せてきた田中の歓喜の声に、公花の否定(悲鳴)はかき消された。
公花は必死に訴えた。
「せ、先生! 私、陸上部に入ろうと思っていて、もう入部届も出しましたし」
「部活なんてやってる場合か! おまえは今日から勉強部! 陸上部の入部届は回収しとくからな!」
と、笑いを含んだ硬質の声が耳に届く。
なんでもいいから、早く解放してほしい。
もう別のことでも考えていようと、現実から逃避することにする。
(今日の夕飯、なにかなぁ……)
「よかったらお手伝いさせてください。僕、部活動には入らずに、放課後は本を読んでから帰ろうと思っているんです。その間、彼女に勉強、お教えしますよ」
「……はんびーぐっ!?」
驚きのあまり考えていたことが声に出てしまった。
「ちょ、ちょっと待ってください、今なんて……?」
「だから。一緒に勉強、がんばろう? 日暮さん」
勉強を……一緒に……?
いや。いやいやいやいや。なにをおっしゃる、お蛇さん。
ぶるぶるぶるっと、バターになって溶けそうなほどに首を振る。
「いえいえ! そんな滅相もない!」
「ええっ!? そんな、いいのかい?」
被せてきた田中の歓喜の声に、公花の否定(悲鳴)はかき消された。
公花は必死に訴えた。
「せ、先生! 私、陸上部に入ろうと思っていて、もう入部届も出しましたし」
「部活なんてやってる場合か! おまえは今日から勉強部! 陸上部の入部届は回収しとくからな!」