前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
お香のような、嫌な感じの匂いが漂ってくる。
頭の中をかき乱されるような感覚に悩まされながら、天井裏を出て壁を伝って廊下に降りた。
ハムスターの姿は小さくとも、人間より機動力がある。
なんだか忍者にでもなった気分。表情も勇ましげに、奥の間へと向かった。
扉はなく、白紫ののれんがかかった入り口をくぐると、お香の匂いが強くなる。道場のような広い場所の最奥に宗教色を感じる台座があり、白く輝く小さな蛇が安置されていた。
『……剣くん!? ……ぎゃんっ!』
一目散に駆け寄っていったら、台座の前で見えない壁のようなものにぶつかり、跳ね返されてしまった。よく見ると、彼がいるあたりの床に魔法陣のような紋様が描かれ、それを囲うように半透明のドームが形成されている。結界というやつだろうか。
転げた公花はすぐに起き上がり、円の外側からキィキィと声をかけた。
『剣くんっ、起きて! 助けにきたよ!』
すると、白蛇の尾がぴくりと動き、ゆっくりと瞼が開く。
『公花……?』
『剣くんっ』
『どうして……うっ』
顔を上げようとした蛇は、小さく呻いて首を垂れた。
どうやら、頭をもたげる体力も残されていないらしい。
『おまえ……その姿は……?』
『剣くんの鱗を使ったの。バッグの中に、一枚残しておいてくれたでしょう?』
頭の中をかき乱されるような感覚に悩まされながら、天井裏を出て壁を伝って廊下に降りた。
ハムスターの姿は小さくとも、人間より機動力がある。
なんだか忍者にでもなった気分。表情も勇ましげに、奥の間へと向かった。
扉はなく、白紫ののれんがかかった入り口をくぐると、お香の匂いが強くなる。道場のような広い場所の最奥に宗教色を感じる台座があり、白く輝く小さな蛇が安置されていた。
『……剣くん!? ……ぎゃんっ!』
一目散に駆け寄っていったら、台座の前で見えない壁のようなものにぶつかり、跳ね返されてしまった。よく見ると、彼がいるあたりの床に魔法陣のような紋様が描かれ、それを囲うように半透明のドームが形成されている。結界というやつだろうか。
転げた公花はすぐに起き上がり、円の外側からキィキィと声をかけた。
『剣くんっ、起きて! 助けにきたよ!』
すると、白蛇の尾がぴくりと動き、ゆっくりと瞼が開く。
『公花……?』
『剣くんっ』
『どうして……うっ』
顔を上げようとした蛇は、小さく呻いて首を垂れた。
どうやら、頭をもたげる体力も残されていないらしい。
『おまえ……その姿は……?』
『剣くんの鱗を使ったの。バッグの中に、一枚残しておいてくれたでしょう?』