前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
 めちゃくちゃ爽やかではないか。
 聖人のごとき王子様スマイルが眩しい。

(……なんか大丈夫そうかも。彼はすごく頭がいいみたいだし、試験のポイントとか、丁寧に教えてくれるんだよね……? うん、それなら悪いようにはならないはず)

 ぱぱっと皮算用して、チーンと安易な答えをはじき出す。
 若干、頬を引きつらせながらも、公花は言った。

「じゃあ、よ、よろしくお願いします……?」
「こちらこそ」

 にっこりと笑ったお顔は、やっぱりイケメン。

(わぁ……かっこいい)
 思わず見惚れてしまった。
 目の保養を通り越して、なんだか目がつぶれそうだ。

「中間考査、期待してるからな~!」
 田中に送り出され、ふたり連れ添って職員室を出た。

「え~と、蛇ノ目くん…さん…?」
「剣でいい。敬語もいらないよ、公花」

 いきなり呼び捨てでいいんですか。
 でもなぜか、それも自然な気がする。
 一応、知り合いなんだもんね。何百年も昔の話だけれども。

「剣、くん……? なんか、お手数おかけします……。あの、ほんと適当でいいんで……?」

「なにを言ってる。俺が教えるからには、死んでも学年上位に食い込んでもらう。少しでもサボるそぶりを見せたら、一生後悔するほど仕置きをしてやるから、そう思え」

「えっ………………」
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