前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
ステージに上がった男子生徒を見て、公花は雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
ガタンと椅子を揺らしてしまい、隣の生徒から迷惑そうな視線を向けられる。
代表の男の子は演壇について一礼すると、マイクに向かって口上を述べた。
「新緑が鮮やかに映るこの季節、僕たちは今日、この学園の門をくぐりました。真新しい制服に身を包み……」
さらりとした黒髪、すっと整った鼻筋に、理知的な雰囲気を醸し出す目元。
新旧含めた生徒らの心境は、男子ならば一目置き、女子ならば憧れ一色に染まったことだろう。
凛とした美声に自然と集中せざるをえない空気の中、公花は別の意味で全集中するはめになっていた。
(あ、あ、あの人、どうして、なんでここにいるの!?)
実は公花には、前世の記憶がある。
遠い昔、西暦一六〇〇年、安土桃山時代と呼ばれたあの頃。
公花は、野山を駆け回る小さなハムスターとして生きていた。
当時、ハムスターは世界でもまだ認知されていなくて、船荷に紛れて日本にやってきた公花は、自分も周囲からも、色違いのねずみの仲間だと思われていたのだが……って、そんなこと今はどうでもいい。
ガタンと椅子を揺らしてしまい、隣の生徒から迷惑そうな視線を向けられる。
代表の男の子は演壇について一礼すると、マイクに向かって口上を述べた。
「新緑が鮮やかに映るこの季節、僕たちは今日、この学園の門をくぐりました。真新しい制服に身を包み……」
さらりとした黒髪、すっと整った鼻筋に、理知的な雰囲気を醸し出す目元。
新旧含めた生徒らの心境は、男子ならば一目置き、女子ならば憧れ一色に染まったことだろう。
凛とした美声に自然と集中せざるをえない空気の中、公花は別の意味で全集中するはめになっていた。
(あ、あ、あの人、どうして、なんでここにいるの!?)
実は公花には、前世の記憶がある。
遠い昔、西暦一六〇〇年、安土桃山時代と呼ばれたあの頃。
公花は、野山を駆け回る小さなハムスターとして生きていた。
当時、ハムスターは世界でもまだ認知されていなくて、船荷に紛れて日本にやってきた公花は、自分も周囲からも、色違いのねずみの仲間だと思われていたのだが……って、そんなこと今はどうでもいい。