前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
 しかしその蛇さん、鱗は発光し、輝いているかのように美しい。
 神秘的な真珠のような瞳に、目を奪われてしまう。
 怖いのに……不思議と惹きつけられて、目が離せない。

「公花、どうしたの?」
 桃子ママが様子を見に、近づいてきた。

「あそこに白蛇が……」

「えっ! やだ、追い払って! お母さん、にょろにょろしたものは苦手」

「公花さん、そんなこと言っちゃいけないよ」
 いつの間にか後ろに立っていたおばあちゃんが、真剣な面持ちで言った。また公花と桃子の名前を取り違えている。

「白蛇を見たら、家に幸運が訪れるというよ。ありがたや、ありがたや……」

 小さな蛇に向かって手を合わせるおばあちゃん。

「そうなんですか? それなら……」
 素直な桃子ママも、一緒になって拝み始めた。
 公花も、右に倣って同様に。

 それでも蛇は生理的に苦手らしい桃子ママ。念仏はすぐに弱音に変わる。
「ありがたや、ありがたや……でも怖いから家の中には入ってこないでくださいね……くわばら、くわばら……」
「もう行っちゃったよ、お母さん」
「あらっ、そう?」

 白蛇はするんと尾を揺らし、背を向けて、塀に入ったヒビの隙間から、外に消えていった。
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