前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
 最初は軽傷だと思った足の怪我は、歩いているうちにだんだんと痛みだして、体重をかけるとズキリと響くようになっていた。

 ひょこひょこと片足メインで歩きながら、目的地に到着するも、室内に目当ての先生がいないなんて……困った。

 ひとまず中に入って待たせてもらおうと奥に進むと、誰かがベッドで眠っている気配がする。

「あれ? 剣くん……?」

 カーテンの隙間から見えた横顔は、最近すっかり見慣れてきた美しいご尊顔。
 だが、どう見ても具合が悪い様子だ。真っ青な顔をしているけど、大丈夫なんだろうか。

 何気なくベッドのそばに寄り、傍らから見守る。
 整った顔にいつもの覇気はなく、額には汗の跡……目の下のクマも深く、心持ちやつれている気がした。

(大丈夫なのかな?)
 じっと見つめる。本当に死んだように動かない。
 なんでもできるように見える彼だけど、無理をしているのかもしれない。
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