前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
体育の授業中に怪我をして、養護の先生に診てもらおうと思い、保健室に来たこと。
邪魔にならないようにするので、先生が戻るまで、ここで待たせてもらいたいことなどを、言い訳するみたいに一方的に喋り続けていると……。
なんと、ベッドから起き上がった彼は、棚の中から勝手に薬箱を持ち出して、保健室の中央にあるテーブルの脇に、丸椅子を構えた。
「座れ。俺が診てやる」
「えっ……そんな勝手に、いいの?」
「手当ての知識はある。先生は、まだあと一時間は戻ってこないぞ」
次の授業もあるし、そんなに待っているわけにもいかない。
じゃあ、お願いしますと呟いて、そろそろと丸椅子に近寄り、腰かけた。
「こっちに足を伸ばせるか?」
「う、うん」
彼は上履きを脱いだこちらの足をあらためると、患部に直接力を入れないよう、そっと靴下を脱がしてくれる。
指がくるぶしあたりに触れた瞬間、心臓がドッと音を立てた。
(わっ! なんだろう、ビックリした)
冷静になろうとすると、かえって状況が差し迫ってくる。
学年の神童的存在が、目の前に屈みこみ、片膝の上に公花の素足を乗せているという……絶対に、おかしな構図。
なんだか、妙に緊張してしまう。
「冷やすシートを貼って包帯で固定しておくから、後で病院に行け。今日は放課後の補習はなしでいい」
そう言いながら、てきぱきと手当てを進めていく剣。
この体勢だと、剣の横顔を斜めに見下ろす形になるのだが。
(鼻高いなぁ……まつ毛の影、濃っ)
思わず見とれてしまった。
血色は戻っているが、もともと白い肌は、女の子よりきれいなんじゃないだろうかとしみじみ思う。文句のつけどころのない美男子だ。
邪魔にならないようにするので、先生が戻るまで、ここで待たせてもらいたいことなどを、言い訳するみたいに一方的に喋り続けていると……。
なんと、ベッドから起き上がった彼は、棚の中から勝手に薬箱を持ち出して、保健室の中央にあるテーブルの脇に、丸椅子を構えた。
「座れ。俺が診てやる」
「えっ……そんな勝手に、いいの?」
「手当ての知識はある。先生は、まだあと一時間は戻ってこないぞ」
次の授業もあるし、そんなに待っているわけにもいかない。
じゃあ、お願いしますと呟いて、そろそろと丸椅子に近寄り、腰かけた。
「こっちに足を伸ばせるか?」
「う、うん」
彼は上履きを脱いだこちらの足をあらためると、患部に直接力を入れないよう、そっと靴下を脱がしてくれる。
指がくるぶしあたりに触れた瞬間、心臓がドッと音を立てた。
(わっ! なんだろう、ビックリした)
冷静になろうとすると、かえって状況が差し迫ってくる。
学年の神童的存在が、目の前に屈みこみ、片膝の上に公花の素足を乗せているという……絶対に、おかしな構図。
なんだか、妙に緊張してしまう。
「冷やすシートを貼って包帯で固定しておくから、後で病院に行け。今日は放課後の補習はなしでいい」
そう言いながら、てきぱきと手当てを進めていく剣。
この体勢だと、剣の横顔を斜めに見下ろす形になるのだが。
(鼻高いなぁ……まつ毛の影、濃っ)
思わず見とれてしまった。
血色は戻っているが、もともと白い肌は、女の子よりきれいなんじゃないだろうかとしみじみ思う。文句のつけどころのない美男子だ。