前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
六転び目 猪突猛進なあの子は省エネを許してくれません
蛇ノ目家、地下の祭壇。
最奥の本殿では、祈祷が行われていた。
儀式用の装束を身につけた蛇ノ目剣は、血文字のような赤で描かれた魔法陣の中に横たわり、指を胸の前で組み合わせて、瞳を閉じている。
その周囲を蛙婆女と五人の祈祷師が星を結ぶように囲み、呪文を奏上していた。
呪詛にまみれた剣は、死んだように動かない。彼の体から立ち昇るのは、霊気か呪力か、彼自身の生命力か――。
本殿の手前にある拝殿では、今回の祈祷を依頼した者が、落ち着かない様子で正座し、待機している。
奥から響いてきていた不気味な奏上が、いっそう盛り上がりをみせたと思うと、ぴたりと止んだ。
するとしばらくして、本殿のほうから、教祖である蛙婆女が足音ひとつ立てずに姿を現す。
「兵頭様、お待たせいたしました」
「いえ……」
依頼人の男・兵頭は、軽く頭を下げた。
彼はブランド物のパーカーのフードで顔を隠しているが、見るからに体格のいい、現役のスポーツ選手だ。
緊張しているのか、口元は引きつっている。
蛙婆女が、男に向かって告げた。
「お望みの件は、つつがなく達成されました」
最奥の本殿では、祈祷が行われていた。
儀式用の装束を身につけた蛇ノ目剣は、血文字のような赤で描かれた魔法陣の中に横たわり、指を胸の前で組み合わせて、瞳を閉じている。
その周囲を蛙婆女と五人の祈祷師が星を結ぶように囲み、呪文を奏上していた。
呪詛にまみれた剣は、死んだように動かない。彼の体から立ち昇るのは、霊気か呪力か、彼自身の生命力か――。
本殿の手前にある拝殿では、今回の祈祷を依頼した者が、落ち着かない様子で正座し、待機している。
奥から響いてきていた不気味な奏上が、いっそう盛り上がりをみせたと思うと、ぴたりと止んだ。
するとしばらくして、本殿のほうから、教祖である蛙婆女が足音ひとつ立てずに姿を現す。
「兵頭様、お待たせいたしました」
「いえ……」
依頼人の男・兵頭は、軽く頭を下げた。
彼はブランド物のパーカーのフードで顔を隠しているが、見るからに体格のいい、現役のスポーツ選手だ。
緊張しているのか、口元は引きつっている。
蛙婆女が、男に向かって告げた。
「お望みの件は、つつがなく達成されました」