前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
 母に見送られ、学生鞄と、パンパンに膨らんだゴミ袋を持って家を出る。

 ゴミ置き場に着いて、すでに山積みになっていたそこに袋を積むと、「ふぎゅるっ」と変な音がした……?

「あはは、変な音~。袋から空気が抜けたのかな。……あっと、いけない、遅れちゃう!」

 公花が駆け去った後、よろよろとゴミ山の中に隠れていたカラスが這い出て、泣いていたことは、誰も知らない。

『ナンナノ、アノ子ッ! 見張レッテ言ワレタケド、アノ子ノ周リ、邪魔バカリ、入ルノヨッ』

 蛙婆女が放った式神カラスは、しぶしぶ公花を追いかけたが、公花が学園にたどり着いた直後、にわかに天気は急変。
 豪雨があたりを見舞い、濡れ羽色の羽に激しく降り注いだのであった……。

       *

 ――中間テストの結果が返却された。

 剣はオール満点の堂々一位。これは想定の範囲内だ。

 そして公花はというと……なんと全教科五十点超え!
 順位からすれば学年で中ほどくらいだが、最下位だった入学当初の実力テストを思えば、ばんばんざいと言えるだろう。

「やったぁ~! 選択問題以外でも、たくさん正解がありました!」
「やればできるじゃないか、日暮。先生は、先生は嬉しいぞ……」

 担任の田中先生も目を潤ませて喜んでくれたし、お母さんもきっとご馳走を作ってくれるだろうと、公花はご満悦。
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