前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
*
カーテンを透かして、白っぽい太陽光が保健室内に差し込んでいる。
職員室で用事を済ませ、消毒液の香りのする仕事場に戻ってきた養護教諭は、休んでいる生徒の様子を確かめるため、ベッドのそばへと直行した。
「蛇ノ目くん、具合はどう? 開けるわよ?」
カーテン越しに問いかけても返事がない。深く眠っているのだろうか。
保健室の常連となった貧血気味の男子生徒。
体育祭の途中で倒れたらしいが、あまり続くようなら病院での精密検査を勧めることになるかもしれない。
顔色を確かめるため、ベッドを囲っている目隠し用の布幕をそっと開けた。
「えっ?」
抜け殻のように布団は膨らんでいたが、休息をとっていたはずの少年の姿は、影も形もなくなっていた。
――まるで煙となって消えてしまったかのように。
カーテンを透かして、白っぽい太陽光が保健室内に差し込んでいる。
職員室で用事を済ませ、消毒液の香りのする仕事場に戻ってきた養護教諭は、休んでいる生徒の様子を確かめるため、ベッドのそばへと直行した。
「蛇ノ目くん、具合はどう? 開けるわよ?」
カーテン越しに問いかけても返事がない。深く眠っているのだろうか。
保健室の常連となった貧血気味の男子生徒。
体育祭の途中で倒れたらしいが、あまり続くようなら病院での精密検査を勧めることになるかもしれない。
顔色を確かめるため、ベッドを囲っている目隠し用の布幕をそっと開けた。
「えっ?」
抜け殻のように布団は膨らんでいたが、休息をとっていたはずの少年の姿は、影も形もなくなっていた。
――まるで煙となって消えてしまったかのように。