前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
九転び目 忍び寄る魔の手
学園では、剣は体調不良で休みということになっている。
騒ぎにはなっていないようだが、本家では血眼で、当主の行方を探しているだろう。
十日あまりが経過しても、剣の姿は元には戻らなかった。
公花が学園に行っている間、はじめは家で留守番をしていたのだが、先日からそれを改めることにした。
二日前から、公花のトートバッグの中に忍んで、一緒に学園へ連れて行ってもらっている。
退屈で仕方がないのだと公花には伝えていたが、実際には、別の意図があって――組織の者たちが公花に手を出さないか、心配しているのだ。
(家にいるとおばあちゃんが怖いという理由では、けっしてない)
数日前、公花は一度、怪しいスーツ姿の男たちに声をかけられ、黒塗りの車に連れ込まれそうになっていた。
「聞きたいことがある」と言っていたという男たちは、蛇ノ目家の息がかかった者たちで間違いない。
弱っていたとはいえ、こんな簡単な事態も予測できずに平穏な日々を貪っていたとは、御使いたる己の腑抜け具合に呆れるしかない。
そのときは幸いにも、剣のクラスメイトの「とある男子」が通りかかり、助けてくれたらしいのだが――。
「風間くん、いい人だったよ~。それから私のこと、すごく心配してくれてね。帰りに送ってくれたり、なにかあったら俺に相談してって――」
『あぁもういい、その話は聞きたくない』
白蛇はフンス、と鼻息を荒くした。
騒ぎにはなっていないようだが、本家では血眼で、当主の行方を探しているだろう。
十日あまりが経過しても、剣の姿は元には戻らなかった。
公花が学園に行っている間、はじめは家で留守番をしていたのだが、先日からそれを改めることにした。
二日前から、公花のトートバッグの中に忍んで、一緒に学園へ連れて行ってもらっている。
退屈で仕方がないのだと公花には伝えていたが、実際には、別の意図があって――組織の者たちが公花に手を出さないか、心配しているのだ。
(家にいるとおばあちゃんが怖いという理由では、けっしてない)
数日前、公花は一度、怪しいスーツ姿の男たちに声をかけられ、黒塗りの車に連れ込まれそうになっていた。
「聞きたいことがある」と言っていたという男たちは、蛇ノ目家の息がかかった者たちで間違いない。
弱っていたとはいえ、こんな簡単な事態も予測できずに平穏な日々を貪っていたとは、御使いたる己の腑抜け具合に呆れるしかない。
そのときは幸いにも、剣のクラスメイトの「とある男子」が通りかかり、助けてくれたらしいのだが――。
「風間くん、いい人だったよ~。それから私のこと、すごく心配してくれてね。帰りに送ってくれたり、なにかあったら俺に相談してって――」
『あぁもういい、その話は聞きたくない』
白蛇はフンス、と鼻息を荒くした。