前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
「おんやぁ、仲のよろしいことで。そういうの、壊したくなっちゃうんだよなぁ……」

「貴様……」

「冗談ですよぉ。一緒に帰りましょぉ。せっかく蛙婆女様から力を頂いたので、もっと暴れてみたい気もするんですがねぇ」

 黒尾がいやらしく唇を舐める。
 剣は破壊された倉庫の惨状を見て、顔を歪めた。

「……おまえたち……銀鱗を使ったな」

「そうなんですよ。特別にいただきました。これたまんないっすよね。前世の力を引き出してくれるのか知らないけど、ちょっとキメただけで絶対無敵なんだもん。一枚といわず、もっとくれません?」

 ぺろんと出した長い舌の上に、平たく透き通った、飴のようなものが乗っている。銀色の輝く鱗……公花がもらった虹色の鱗の色違いだ。

 公花は思わず胸元に下げたお守り袋に手をやった。

(やっぱり飴だったんだ……舐めたらおいしそうな色だと思ってた)

 場違いだが正直な感想。
 横道に思考が逸れそうになったところで、黒尾が足下に転がっていた荷物を軽々と蹴り上げた。いちいち足癖の悪い人だ。

「今のご当主様じゃ、俺たちふたりを相手に、その子、かばいきれないですよね? どうします?」

 自分が足手まといになっているとわかって、公花は唇を噛む。
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