前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
「こんなに早く鱗の力が切れただと? いや違う......力が抑えられている?」
「ふぁ……どうしよ、クロぉ。俺、力が出ない……」
樋熊が一転して心細そうに言う。異能を発揮していなくても十分巨漢で強そうなのだが、体は大きく見えて、平常モードでは気が小さいらしい。
「……くそっ。まぁいい。今日はこれで勘弁してやる。ひとまず、一番の目的は果たしたからな! ざまあみろ!」
奪った戦利品を見せつけるように指先にくるりとお守り袋を弄び、彼らは闇の中へと消えていった。
*
公花たちは本家のリビングに戻り、白蛇が眠っている籠に毛布代わりのハンカチをかけ直した。
桃子ママは、おばあちゃんの魔法かなにかで深く眠っているようで起きてこない。
公花は、今も横に付き添ってくれている、謎のおばあちゃんに尋ねた。
「剣くんは、大丈夫なの……?」
「限界は近づいておるが、力を使い過ぎなければ今すぐにどうというわけではない。じゃが、敵はそれを許さないじゃろう」
剣の存在。敵とは何者なのか。
おばあちゃんの体に入った、おばあちゃんでない何者かが語る。
以前、剣の口から聞いた事情とおおよそ一致していたが、剣は単に長寿をもつ妖というだけでなく、同じような異能の者たちを束ねる、組織の当主なのだという。
「ふぁ……どうしよ、クロぉ。俺、力が出ない……」
樋熊が一転して心細そうに言う。異能を発揮していなくても十分巨漢で強そうなのだが、体は大きく見えて、平常モードでは気が小さいらしい。
「……くそっ。まぁいい。今日はこれで勘弁してやる。ひとまず、一番の目的は果たしたからな! ざまあみろ!」
奪った戦利品を見せつけるように指先にくるりとお守り袋を弄び、彼らは闇の中へと消えていった。
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公花たちは本家のリビングに戻り、白蛇が眠っている籠に毛布代わりのハンカチをかけ直した。
桃子ママは、おばあちゃんの魔法かなにかで深く眠っているようで起きてこない。
公花は、今も横に付き添ってくれている、謎のおばあちゃんに尋ねた。
「剣くんは、大丈夫なの……?」
「限界は近づいておるが、力を使い過ぎなければ今すぐにどうというわけではない。じゃが、敵はそれを許さないじゃろう」
剣の存在。敵とは何者なのか。
おばあちゃんの体に入った、おばあちゃんでない何者かが語る。
以前、剣の口から聞いた事情とおおよそ一致していたが、剣は単に長寿をもつ妖というだけでなく、同じような異能の者たちを束ねる、組織の当主なのだという。